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2010年3月11日 (木)

律子 慕情

 律子慕情

  小池 真理子:著

  「律子 慕情」 集英社,1998

  ☆☆

  

  オレが12年前に、買うか買わないか迷っていた本。

  なぜ、この本に惹かれていたのか。

  それは、当時勤めていた職場に、“律子”さんという人がいたからである。

その人は、オレより二回りも年上だったのだが、なぜか惚れてしまった。

オレの熟女好きは筋金入りか。orz

そんなわけで、同じ名前の主人公がでているこの本に、惹かれるものがあったのだ。

でも、結局は買わなかったが。

照れくさくてね。

12年後になって、BOOK OFFの¥105の棚にあったのを見つけたとき、なんとも言えない懐かしい気持ちになったので、買った。

舞台は昭和。東京五輪の辺りからはじまる、一人の少女の物語。

律子には不思議な力があった。死者が見えるのだ。

否、死者の“気持ち”が見える、と言ったほうがいいのかも。

その人が、生前恋焦がれていた人のもとに現れる。その時の情景が良い。

霊とはいっても、おどろおどろしい描かれ方はしていない。

本当にその人のことを想っていたのだということが感じられる、“優しさ”が伝わってくる。

彼らは、自分の死を“受け入れている”から、そこに“恨み”や、“無念”といったもの、暗いものがない。

著者の小池真理子が、あとがきに書いている。

これは律子さんの持っている特殊な能力をテーマにした物語ではない。死というものがどこかで現世とつながっていて、その連鎖する時間の果てしない流れの中で、人は悲しんだり、悩んだり、迷ったりしながらも、恋をし、愛し、夢を見続ける、そして、それぞれの命を育みつつ、自らもまた死に向かって静かに泳いでいるのだ・・・・・・そんなことを書いてみたかった。(p252)

優しさが溢れている物語。オレは、特に、二話目の「猫橋」と、三話目の「花車」が好き。

  

 

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