« 外国人参政権「反対」28県、「賛成」を逆転 都道府県議会 | トップページ | 文化防衛論 »

2010年3月22日 (月)

本当に「中国は一つ」なのか

本当に「中国は一つ」なのか アメリカの中国・台湾政策の転換

☆☆Cafbm1oq_2                                    

反戦・平和を叫ぶのもよし、反米を叫ぶもよし。しかし、それが戦略を抜きにした、たんなるIdeologieにしかなっていないとしたら、日本人は先の戦争からなにも学んでいないということではなかろうか。

三島由紀夫がこう洞察している。

 私はテレヴィジョンでごく若い人たちと話した際、非武装平和を主張するその一人が、日本は非武装平和に徹して、侵入する外敵に対しては一切抵抗せずに皆殺しにされてもよく、それによって世界史に平和憲法の理想が生かされればよいと主張するのをきいて、これがそのまま、戦時中の一億玉砕思想に直結することに興味を抱いた。一億玉砕思想は、目に見えぬ文化、国の魂、その精神的価値を守るためなら、保持者自身が全滅し、又、目に見える文化のすべてが破壊されてもよい、という思想である。

 戦時中の現象は、あたかも陰画と陽画のように、戦後思想へ伝承されている。(“文化防衛論”p32~33,新潮社,1969)

“国益”という言葉を使えば、即、国粋主義者、右翼と見るような極端な風潮。異様なまでの左傾化。国が解体していく音が聞こえるようだ。

今、排外主義的な極右に見える連中が騒がしくしているが、この手の連中も、左に傾きすぎな日本の思想情況の均衡をたもつ上では、必要な存在と考える。

この本では、右へ左へ、一方の極から一方の極へと、情緒的に揺れ動くだけで、現実主義的に政治が論じられない日本とは大違いな、米国の政治状況を知ることができる。

とにかく、なんら他をはばかることなく、“国益”を真っ向から論じていることに爽快感を覚える。何故に日本ではこういうまっとうな議論がはばかられるのか。どう考えても健全な政治情況ではないと思える。

【一部抜粋】

第1章 現実を直視せよ―中国は二つある,より

スティーブ・シャボー(共和党下院議員)談

 議員である私にとって最大の関心事はアメリカの国益である。そして現実に即して台湾を独立国家と認めることこそ、アメリカの国益にかなうと確信している。東アジアの平和と安定を維持するには、アメリカが中国、台湾の双方と良好な関係を保つことが最善の策である。中国は台湾が自国の離反した領土であると主張し、なおかつそれが世界的に認知されていると思いこんでいる。これを放置すれば、北京の独裁者たちは増長し、アメリカが主導する西側諸国は武力行使も黙認すると考えかねない。

 歴史をひもとけば、強大な独裁国家が周辺諸国を脅かした例にこと欠かない。民主主義を掲げる国々が、それをただ傍観するだけで何の措置もとらず、結局手遅れになったという例も枚挙にいとまがない。そして、味を占めた独裁国家が小規模の征服では飽き足りなくなり、ついには世界を巻きこむ大戦争へと突き進んでいった例もまた数えきれないのだ。                               

第6章 二人の議員が見る「一つの中国」政策,より

ロバート・E・アンドルーズ(民主党下院議員)談

 なぜソ連は崩壊したのか?それはアメリカがソ連に対して急進的民主主義政策を推し進めたからだと私は考えている。ならば、中華人民共和国に対しても同じ政策をとるべきではないか。アメリカの対中政策は、中国が民主主義国家へと発展できる状況を作り出すことを目標とすべきだ。それが結局、アメリカの国益にかなうのである。

 台湾はまさしくこの政策の要である。台湾の地位について曖昧な姿勢をとっていれば、台湾の事実上の立場に対しても曖昧になり、アメリカの戦略的目標も曖昧なものになってしまう。このような曖昧な姿勢では、アメリカは自滅の道を歩むことになるだろう。

スティーブ・シャボー(共和党下院議員)談

 アメリカの「一つの中国」政策によって、戦争の可能性は低くなるのだろうか?私にはとてもそうは思えない。一九三八年、イギリスとフランスはヒトラーの主張するズデーテン地方の領有権を認め、事実上の「一つのドイツ」政策を実施した。この英仏の宥和政策は、ヒトラーによるチェコスロバキア占領を招き、最終的にはヨーロッパに第二次世界大戦をもたらす結果となった。

 最近では、アメリカが「一つのアラブ」政策をとっているように見えた時期もあった。一九九〇年七月二五日、バグダットのアメリカ大使はサダム・フセインに対し、「クウェートとの国境問題のようなアラブ諸国間の領土争いに関して、アメリカは特定の立場をとらない。我々は平和的解決を望むのみだ」と告げた。「クウェートとの国境問題」とは、周知のとおり、クウェートはイラクの一九番目の州だとサダム・フセインが主張したことである。この問題に対して特定の立場をとらないというアメリカ側の表明は、イラクがクウェートの武力侵攻に踏みきってもアメリカは介入しないと、サダム・フセインに思いこませる結果となった。

ニクソン、キッシンジャーによる支那との接近には、対ソ連封じ込め政策の意味があった。もちろん、将来的に、支那の巨大市場を自国の国益にかなうように開拓する狙いもあったと思われる。いずれにせよ、冷戦構造の中での戦略であったということになる。

ソ連はすでにない。となれば、当然、支那とのつきあい方も見直されなければならないとなる。

これが尋常な政治のあり方でないか?

補遺A 「一つの中国」を再考する,より

カリフォルニア選出、ダナ・ローラバッカー議員、談

言うまでもなく、私は台湾住民に住民投票権があるという決議の採択には全面的に賛成です。しかし、この決議を妨げようとするのは、ブッシュ政権だから、クリントン政権だからというわけではありません。ここには財界の力が働いているのです。彼らは中国本土でなりふりかまわず利益を追求したいがために、政府にその価値観や主義・信条を放棄するよう圧力をかけているのです。要はそういうことなのです。

 アメリカは、人々が金儲けのために集まってきただけの国ではありません。金儲けが悪いことだとは思いませんが、利潤追求のために企業の海外投資を奨励することだけが、アメリカの外交政策の究極の目標ではありませんし、またそうであってはならないのです。

日本よ、少しは気骨のあるところを見せろ。政治家だけの問題ではない、世論が最大の政治勢力になるはずである。

« 外国人参政権「反対」28県、「賛成」を逆転 都道府県議会 | トップページ | 文化防衛論 »

書籍・雑誌:☆☆」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/181624/33877219

この記事へのトラックバック一覧です: 本当に「中国は一つ」なのか:

« 外国人参政権「反対」28県、「賛成」を逆転 都道府県議会 | トップページ | 文化防衛論 »

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近のトラックバック

無料ブログはココログ