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2010年5月14日 (金)

おじいちゃん戦争のことを教えて

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☆☆☆ 
                                                 

アサヒビール名誉顧問の中条高徳氏が、米国に住む孫娘からの質問状に答えるかたちで、戦争当時のことを語っている本である。

お孫さんの通う学校の歴史の授業で、身内に戦争を経験した方がいたら、その人の体験と考えを聞こうということになったようである。 

送られてきた16の質問に丁寧にお答えになっていて、第二次大戦が日本にとっていかなるものであったかを、大まかに把握できる、良書だと思う。

一番印象深かったのは、終戦後の国民の変わり身の早さである。

つい昨日までは、我が子や出兵する人らを、日の丸を振って「お国のために」と送り出していた人たちが、終戦するや、何かをはばかるような視線を投げてくるようになったり、「お前たちのような軍国主義者のせいで、おれたちは苦労しなければならないのだ」、「戦争犯罪人が一人前に汽車に乗ったりするな。歩いて行け!」などと、罵声を浴びせるようになったという。

これはいったい、日本人に特有な現象といえるのだろうか。他の敗戦国の民衆は、どのようにその現実を受け入れたのだろうか。

そもそも、なぜ日本人は「敗戦」と言わず「終戦」というのか。

山崎正和だったと思うが、このような趣旨のことを書いていた。『欧米列強が明確な植民地獲得の意志や戦略をもって戦争遂行したのに対し、日本にはそのような強い動機も宗教的信念に似たものも持っていたわけではなかった。したがって、日本人にとっては戦争は「終わった」、という感覚しか持てなかったのだろう』と。

「おじいちゃんは終戦のときは、どうしていましたか?」という質問に、中条さんはこう書いている。

 「無条件降伏など、天皇陛下の御心であるはずがない。もし、無条件降伏を受け入れたとするなら、それは鈴木貫太郎(当時の首相)の老いぼれの世迷言だ。天皇が戦いをやめろなどとおっしゃるはずがない」

 同期生たちで激論が闘わされ、結論はそこに落ち着く。私も、そうだ、そうだと自分にいい聞かせた。そういい聞かせなければ、頭のなかが粉々になって、気が狂ってしまいそうだったからだ。

 しかし、いくら日本は負けてはいない、と自分にいい聞かせたところで、事実は事実なのだ。周辺の様子で、無条件降伏はまぎれもないことが次第に明らかになってくる。だが、やはり日本が負けたとは信じられないのだ。といって、敗戦の事実が日に日に明確になってくる。私は何をどう考えていいのか、わからなかった。同期生のみんなも同じだった。実際、同期生のうち三人は、発狂してしまったのだ。私もその一歩手前まで行っていたと思う。(p72~73)

戦後のゆとり平和主義世代の自分には、当時の人たちのこころの痛みを知るのは難しい。しかし、すんなり日常の暮らしに戻れたとも思えないのだ。国が亡くなってしまうという、現実的な焦燥感のなかに生きていたのではないかと思う。

あっさり左翼に鞍替えできた人間というのは、いったいなんなのか。

ゆとり平和主義の左翼どものたんなる言葉遊びと違い、敗戦の意味を真剣に受け止め、国民であり続けることを己に科した人の言葉は重い。

 日本人が国益に比較的鈍感なのは、敗戦から終戦後の一時期を除いて、国家存亡の危機を痛切に経験したことがないからだろう。だが、国家によって安全と生命と財産を守られなくなった人びとの悲惨さは、筆舌に尽くしがたいものがある。それは現在も世界各地で起っている地域紛争で発生する難民の姿を見れば、容易にわかるはずだ。(p112)

 国家とか国益とかいう前に、人類愛、ヒューマニズムのほうが重要だという議論がある。だが、それは理想的というよりも空想的である、と私は思う。国家があり国益が守られてこそ、ヒューマニズムはその機能を発揮することができるのだ。それが現実というものである。(p112~113)

 真の国際人とは、まず何よりも自国のアイデンティティを身にしみ込ませ、自国の公のために身を捧げるという心棒をしっかり備えていることが第一条件だ。外国の若者は日本の若者よりも押しなべて公に対する意識が強い。お互いがお互いの公に対する意識をしっかり持った上で交わる。そのとき、お互いの違いがはっきりと見え、その違いを認め合うことができる。その上に結ばれるのが真の友好というものなのだ。

 日本という国へのしっかりした意識をまず構築すること。それが景子の国際人の第一歩になるのだということを、くれぐれも忘れないでほしい。(p148)

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