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2010年7月 4日 (日)

白痴と津軽と注文の多い料理店と倫敦塔・幻影の盾

通勤時間が約1時間ほどなので、ギュウギュウ詰めの電車内でも嵩張らない文庫本を読んでいる。

ここ最近読んでいたものは、不快な電車内で読んだということもあるのかもしれないけど、どれも特に引き込まれるものはなかった。

白痴改版坂口 安吾は「堕落論」は好かったが、小説はいまいち。

短編7作収めてあるが、どれも退廃的な男女の有り様を描いている。そこを通して、戦後の日本を書きたかっただろうか。

最後の福田恆存の解説読んで、なんとなくだが分かった気もする。

 かれらは真に幻滅などなめていないのである。社会がかれらを認めぬ歎きはあっても、自分で自分を認めることのできぬ苦痛、神が自分を許してはくれぬ絶望、それだけは日本の私小説作家に欠けていた。まだまだ虚栄心や下心が、かれらの作品のかげにうずうずしていたのである。

 坂口安吾はこの虚栄心と下心とを、そして当然そこから生じてくる特権意識と処世術とを棄てろというのだ。(p246)

と、論じている。だが、安吾に信仰があったとも思えない。

やはり明治から高度経済成長期前までの世代の人には、日本への愛憎入り交じった“執著”があって、それが私小説なるものの行間に感じる、不満の正体なのではと思う。

津軽 (新潮文庫)太宰治が故郷、津軽を旅した紀行文である。津軽の歴史等にも触れていて興味深いのだが、なにぶん、景色を頭に描けないのが辛い。

これはぜひとも、津軽へ小旅行でもしながら読み返したい本である。

注文の多い料理店岩手を愛した宮沢賢治の為にも、小沢のような腐れ売国奴を勝たせてはならんとの思いを強くした。 

表題にある「注文の多い料理店」は、なかなか好い。グリム童話にありそうな、ちょいコワな感じ。

「ひかりの素足」は方言が読みにくいものの、冬山の厳しさを舞台に父と子の愛情を書いて、一番読み応えあった。

ところで、相変わらず賢治はいじめを描写するなぁ。

「気のいい火山弾」は他の石のように“角”のない丸っこい火山石が、石仲間や木や苔からもバカにされる話。

賢治は苛められっ子だったのか。それとも、その逆か。

倫敦塔・幻影の盾 (新潮文庫)夏目漱石の文章はさすがに格調高い。が、これに関してはその美文に関心こそすれ、それゆえにというべきか、画が浮ばなくて参った。

特に「倫敦塔」,「カーライル博物館」,「幻影の盾」,「薤露行」にはまいった。

漱石の英国留学中の体験が生きているようだが、その饒舌に読む気力が削がれる。

西洋文学の影響を、自分なりに消化しようとの試みであろうとは思う。

日本語の美しさに酔うことはできる。

全部まとめて読後感は△

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