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2010年9月 6日 (月)

中台統一

王曙光/中台統一 「中台統一」―21世紀東アジアのパワーバランス

読後感:××

中共、台湾、双方に太いパイプを持っているという著者が、台湾海峡と東アジア情勢を分析し、中台関係がどのように処理されるかの見通しを語っている。

中華思想の申し子とでも云いたくなる御仁である。

平たく言うと、台湾は紛れもなく中国なのだ、それは自明の事であって台湾人民がいくら反発したところで、「大中国」という“統一大業”を妨げる事は不可能である。

と、こういう主張である。

同時に、親台湾な日本や米国に対しての警告でもある。

はっきり云っている。もし、この「統一大業」に介入してくるなら、武力衝突は避けられないと。

そうなった場合、実際に戦場となるのはどこなのか。台湾だ。良くて台湾海峡だと、そこをよく考えよと、云うわけだ。

小さな親切、大きなお世話だよ、って云いたいらしい。

本当に台湾人民の為を思っているなら、“大中国”という理想を妨げてはならないのだそうだ。

しかし、あくまでも「統一大業」は“平和”に行われるべきである、という。

長期的に、利巧に攻めよってわけである。

台湾住民の多くは決して、中国そのものが嫌いなために「即時統一」を拒んでいるのではなく、中国人であることを認めないために「現状維持」を主張しているのでもない。

台湾住民は中国側が主張する「一国二制度」による統一方式に対する根強い不安と懸念を抱えているため、中国からの統一交渉要求に慎重な態度を示しているのである。(p244,台湾問題の平和的解決を目指すために)

と、自分たちが嫌われているわけではないのだと云い切っている。

いずれ日本に対しても同じ論調でくることだろう。

中共は、武力行使を躊躇わないと威嚇しつつも一応、“住民の意思を尊重”するという態度を見せている。

連中の戦略は長期的である。住民の意思を変えられる自信があるのだ。

住民の多数が、大陸からの外省人になればよいということ。

つまり、人口爆弾である。

「中国人の交渉術」という本には、毛沢東がキッシンジャーとの会見において、このように云ったと書かれている。

毛「中国には米国を痛めつける策略があります。千万人の女性を米国に送り、人口を過剰にして、国力をそぐことです」

ようは、そこの住民の多数派が“中国人”になってしまえば全面対決するまでもない、ということだ。

自国では民主主義など採用するつもりはなくても、他国においては、この制度の不利な点を最大限利用する戦略であろう。

 

中共は米国の弱みを冷静に分析している。この市場の持つ魅力には抗えないことを。

最後に、中台問題を見る心得をご教示下さった。

中台間で現在繰り返されている攻防戦は、それぞれが交渉を自分に有利な方向へ持っていくための作戦であり、双方の世論や住民からの支持を最大限に引き出すために必要な策略なのである。

そしてそれぞれの動きが作戦であり、策略である以上、第三者は派手な演出と頻繁な駆け引きを、中台関係悪化の象徴として短絡的に受け止めてはならない。さまざまな表層現象を通して、双方の戦略的意図を突き止めることこそ、中台問題に関心を持つ者として、とるべき姿勢なのであろう。(p256,同)

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