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2010年11月11日 (木)

草枕・お伽草子

草枕 (新潮文庫) 草枕 (新潮文庫)

著者:夏目 漱石
販売元:新潮社
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「智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。意地を通せば窮屈だ。」という、有名な文句ではじまる小説。

絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、

とあるとおり、文章の美しさは相変わらずである。しかし、如何せん、内容が入ってこなくてまいった。

柄谷行人の作品解説を読んで納得。

われわれはたんに『草枕』の多彩に織られた文章のなかを流れて行けばよい。立ちどまって、それらの言葉が指示する物や意味を探すべきではない。漱石は、そのように書かれそのように読まれる作品が“文学”として受けとられないことをよく承知していたのであり、むしろそのような状況において『草枕』を挑発的に書いたといえる。 

お伽草紙 (新潮文庫) お伽草紙 (新潮文庫)

著者:太宰 治
販売元:新潮社
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太宰は、元ネタを自分流に解釈して物語を作りだすのを得意としていたようだ。これは、シナの「聊斎志異」や西鶴に触発されたもの、浦島太郎や瘤取り爺さん、カチカチ山などなどからなる作品集なのだが、よくよく考えると、自分、元ネタも録に知らないのだよね。聊斎志異なんて、いつかは読みたいと思っているけど。知ってるともっと、太宰の想像力の広がりとか見えて、良かっただろうと思う。

ちょっと感銘を受けた件があった。「浦島さん」から。

竜宮には夜も昼も無い。いつも五月の朝の如く爽やかで、樹陰のような緑の光線で一ぱいで、浦島は幾日をここで過したか、見当もつかぬ。その間、浦島は、それこそ無限に許されていた。浦島は、乙姫のお部屋にも、はいった。乙姫は何の嫌悪も示さなかった。ただ、幽かに笑っている。

そうして、浦島は、やがて飽きた。許される事に飽きたのかも知れない。陸上の貧しい生活が恋しくなった。お互い他人の批評を気にして、泣いたり怒ったり、ケチにこそこそ暮している陸上の人たちが、たまらなく可憐で、そうして、何だか美しいもののようにさえ思われて来た。

「無限に許される事に、飽きる」

これはなかなか、深い人生観ではないだろうか。逆立ちして物を見ている(そしてそれを真理と思っている)、腐れ左翼のド畜生どもには分からんだろうが。

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