【演劇】 南へ
蒼井優と妻夫木聡を同時に見られるという美味しい芝居である。しかも作・演出は野田秀樹。
前売り券は入手できず、当日券で観てきた。
野田秀樹作だから、ハズレはまぁないだろうと思っていた。
期待通り、いや、それ以上に魅せてくれた好い芝居だった。
芝居を観るとき一番不安なのは、笑いのツボが自分に“合う”かってことなのだが、そこは野田秀樹である。彼の著作「誰にも気づかれずに大バカが治る」で大変笑わせてもらったので、その辺は心配なかった。
【あらすじ】
火の山が大好きな男(妻夫木)が、火山観察所に赴任する。
その赴任先で待っているのは、虚言癖の女(蒼井)。
やがて、大噴火の噂が流れる。流れるのは、噂だけか。
それとも、本当に溶岩が流れ出すのか・・・。
不確かな情報、予知、夢、噂、群がるマスコミ・・・
「信」じられないものばかりで織りなされる、まことしやかな火の山の物語。
【感想】
結構辛口な評価がされているようですが、自分は充分満足できる作品でしたね。
作者の云わんとしていることの、半分も理解出来てはいないだろうけど。
この山は噴火するぞと訴える、観測所の新人(妻夫木)。それを信じない仲間たち。そこに蒼井優演じる謎の女。
この劇の主題はなんなのか。オレの頭で想像つくのは、以下。
「真実」とは何か。「信じる」とはどういうことか。「自分」は何者なのか。そして、それを「証明」できるのか。
「天皇制」って言葉ははっきり云って嫌いなのだけど、劇中で「この国は天皇を利用した詐欺の歴史」云々という科白が出てくる辺りからいっても、この劇に内在している主題は、左に針が振れているのは間違いないね。
ならば解釈の難しい作品になるのは、致し方ないね。左翼は小難しい言葉遊びが好きだからな。
尤も、野田秀樹を右・左で片付けたくもないけどね。割と好きなんで。
確かに難しいな。解ったといったら嘘だし、かといって、解らなかったから面白くないってわけじゃない。充分楽しかったのだから。
この作品をどう評価するかは、演劇に何を求めるかで評価が分かれると思う。単純に娯楽性を求めるのか、芸術性を求めるのか。
勿論、娯楽にも芸術性はあるし当って然るべしだけど、芸術であることに拘るならどうしても観る側に解釈を任せるという作りになってしまうだろうと思う。
そしてこの作品は、強いて云うと後者の方かと思う。充分に娯楽性はあるんで、自分は満足したからそれで好し。笑いのツボもばっちりだし。
あと出演者について云うと、妻夫木聡は声にも魅力があってなかなか好い役者ですね。
そしてやっぱり蒼井優は好いよw 声量の問題はあるけどね。一階席の最後列だったけど、オレには問題なく聞こえたんで好し。
しかし子供っぽい声でしたな。まぁ、そこが萌えではあるがw
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