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2011年2月 3日 (木)

TERRORIST HUNTER

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テロリスト・ハンター

販売元:アスペクト(2004/04)
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読後感:☆☆☆

【イラクからイスラエルへ脱出したのちアメリカへ渡り、対テロ活動のエキスパートとなってから今日にいたるまでの波乱に富んだ半生を綴った回想録。

2人の子供を抱え、しかも妊娠中の身でありながら、イスラム過激派集会に潜入しつづけた女性が掴んだ衝撃の事実。「9.11テロおよびアルカイダ、パレスチナテロ組織等の黒幕は、サウジアラビアの大富豪である」彼女の告発をひた隠しにする米国政府の思惑は?

ホワイトハウスやFBIの無能ぶりを赤裸々に描く問題作。世界を不安と恐怖に陥れる悪意と報復の連鎖、その問題の根本にあるものとは何か9.11テロの黒幕と米政府の嘘を暴いた衝撃のノンフィクション。

9・11テロの真犯人、アルカイダの黒幕は誰か?本書にその実名を明かす。テロリストのみならず、米当局をも震撼させ、アメリカ国外への販売を禁じられた超問題作。イラク生まれのユダヤ人女性がテロリスト・ハンターとなった数奇な人生。 】

物凄い情報量である。 著者はイラク生まれのユダヤ女性である。名前は伏せて、匿名としている。現在でも本書で明かしているような活動を続けているのだろうか。

本書は全十一章からなるが、第一章と第二章は読むのが苦しい。父親を処刑され、イラクからイスラエルへ亡命する過程は惨い。中東の複雑さを思い知ることになる。本当の意味で同時代を生きているとは云えない人々の住む地域であると思う。

この本が俄然面白くなるのは第三章から。米国に移住して、中東について調査する非営利組織で働くようになってからである。

ここで彼女は、あるイスラム系慈善団体が発行している“救済の為”の寄付を募る、小冊子を発見する。それは、半分英語、半分アラビア語で書かれた小冊子であったが、英語で書かれた部分とアラビア語で書かれた部分では、内容が微妙に違っていることに気づき、調べ始める。彼女はなにしろアラビア語の能力を買われて、この組織で働くことになったのだ。

この作業を始めて、米国には“慈善事業”という表向きの顔を通して、Terroristに資金を流している団体が多数存在していることを彼女は知る。

イスラム系の慈善団体がテロの隠れ蓑になっているという考えは、驚きでも何でもなかった。それは、イスラエルでは周知の事実だった。私が驚いたのは、そういう団体がアメリカで図々しくも楽々と活動している点だった。九・一一の何年も前だった当時は、アメリカ―ムスリムによるテロを経験していず、宗教と救済に関わる組織を高潔なものと信じがちな国―では「聖地基金」という名称を持つ団体が皮肉にも破壊の道具に使われうるとは誰も想像せず、私はそのことを少しも理解していなかった。私は、世界貿易センタービルやペンタゴンが攻撃を受けるずいぶん前からFBIや国務省に働きかけ、慈善団体が隠れ蓑に利用されていることに関心を持ってもらおうとした。だが、私の提示した調査結果について、どちらも何の手も打たなかったのだ。(p112,第三章 翻訳のからくり)

米国流の自由と民主主義を謳歌しながら、その米国を地獄に落とす計画を立てているのである。その連中を支援しているのは、米国流の自由と民主主義に絶対の自信を持ち、“可哀想な人たちを放っておけない”米国人である。

ラルフ・タウンゼントが指摘している当時と、米国人は変わっていないらしい。

どうせ環境保護も高潔なものと信じこんでいるんだろう。単純な奴らだ。

それにしても、当局も驚くほどの情報収集能力を見せた著者は、いったいどうやってそれらの情報を掴んだのか。

全て公開されている情報の中からである。吉田一彦氏の本に書かれていた、公開されている情報源からの情報収集―open source information (OSINT)というやつである。

政府公文書などからNETで閲覧可能なわけである。にも関わらず、むしろ当局の人間が彼女に協力を要請するという、妙な自体になっているのである。

そして、ここでもFBIの酷さが際立っている。最早、末期症状というべき官僚主義に陥っているのである。縄張り意識と、主導権を渡したくないという官僚主義から、持っている情報を関係機関にすら渡さないという異常な姿を見せる。

信じられないことに、著者と接触した身内の職員に対して、尾行と盗聴まで仕掛ける始末。完全に矛先を間違えているのである。

ついでにCIAもおかしな動きを見せている。著者の見解として、CIAにはサウジアラビアが突き回されるのを気に入らない人間がいるのではないかと云っている。だが、その時点では“使える”と思ったとしても、長い目で見ればTerroristを支援し、組む者はそのしっぺ返しを受けることになるのだと警鐘を鳴らしている。

関係機関がこんなばらばらな動きを見せている辺りが、陰謀論や自作自演説が蔓延る原因になっているのだろう。

それは兎も角、この状況にどう収拾をつけるのか。本書で著者が結論として述べていることは、Terroristへの資金源を断つということである。そして彼らの国の教育を変えること。これに尽きる。

 つまり喜捨(ザカート)こそ金が寄付される理由であり、ワッハーブ主義的教育こそ寄付金が世界各地の聖戦(ジハード)に使われる理由なのだ。しかし、聖戦(ジハード)に直接に資金を提供するとはどういうわけだろう?聖戦(ジハード)を実践する集団―ハマスやPJJも含む―の多くは複数の国で違法とされている。ビン・ラディンはサウジアラビア自体を相手に戦争を仕掛けている。善良なるサウジ国民が彼に喜捨(ザカート)しつつもサウジ政府を裏切ることにならないのはなぜだろう?

 これこそイスラム系慈善団体の巧妙なところだ。ビン・ラディンの師で精神的な父親であるアブドゥラ・アザムが考案したうまい手口である。自分の金を慈善活動に寄付するのは清く、気高い行為ではないか?だが慈善団体は集まった寄付金をシンクタンク、宗教団体、教育機関などを装ったフロント組織に回す。するとそのフロント組織は受け取った金を聖戦(ジハード)とムジャヒディンのために提供するのだ。これは賢いやり方で、資金をらくらくと洗浄でき、その流れは追跡がほぼ不可能になる。アメリカ政府は長年この作戦にすっかり騙され、サウジの莫大なオイルダラーが手から手へ渡るのを見過ごしにしていた。(p419~420,第十一章 サウジ・コネクション)

これは他国の問題として見ていていいのだろうか。日本にも背景や規模の違いはあれ、同じように資金洗浄に使われている団体があるに違いない。実体の把握できない、休眠中の宗教団体などもかなりの数に上るといわれる。

宗教法人法を改正すべきだ。こいつらに税制の優遇などまったく必要はない。

面白いことに9・11の後、米政府による自作自演説を流している連中は、事件の何年も前からこれらの宗教団体に当局が目を付けていても、信教の自由に対する侵害を盾に、国民の安全を守るための政府機関の活動が妨げられてきたことについては、決して指摘しないのである。それどころか、事件後捜査を厳しくしたことに対して、“人権侵害”を指摘するわけだ。

つまりこの手の連中は、政府の安全保障上の活動が不十分であったことを批判しつつ自作自演説を流し、それでいて今後の類似した事件が起りかねない事に関して、政府が活動を強化すると、人権侵害をのたまうのである。

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