« 欲望の未来 | トップページ | トウホク食い荒らす?被災地に跋扈する不気味なアジア人 »

2011年4月19日 (火)

遙かなるセントラルパーク~大陸横断ウルトラマラソン

遙かなるセントラルパーク―大陸横断ウルトラマラソン

著:トム・マクナブ,訳:飯島 宏,文芸春秋,1984  

Caq53uew

読後感:☆☆

Los Angeles からNew York のセントラルパークまでの5千km以上の道のりを、走って横断するという途方もない企てを起した興行師が現れた。その男の名はチャールズ・フラナガン。本書の原題は、彼の名をとって、「FLANAGAN'S RUN」である。

実はこれ、1928年にC・C・パイルという興行師が企画して行なわれた実際のマラソン大会を基にした小説なのである。

そんなことがあったなどということを知っている人って、どのくらいいるのだろうか。

これは駅伝のような、集団で走り繋いでいくというものではない、自分一人で5千km以上を走りぬくのである。

人間が一日に約80kmもの距離を走り、それを3ヶ月近く続けるという凄まじく過酷な競技である。長くて10kmしか走り続けたことのない自分には、想像を絶する己との勝負である。

それにしても、ひたすら走り続ける者たちを描くこの筆力はすごい。それもそのはず、と云うべきか、著者はあの「炎のランナー」という映画の技術指導や台本の顧問もやった人物らしいのだ。

それだけに、走っている時の走者の身に起きている変化、筋肉の動きや、「毎日7万回地面を打つ」ことによる地獄のような足の痛み、肺に空気が針のように刺さってくる感覚など、走る趣味を持たない自分にまでその苦しみが伝わってくるのである。

ところで、本書は作家の山本一力がNHKの「ラジオ深夜便」で、旅に持ってゆくならこの本ということで紹介していた小説である。昨年の9月ころだったか?

なかなかハードカバーでは手に入らない本である。オレはハードカバーが好きなので、netで購入した。

兎に角、身体を動かすのが好きな人なら、これを読めば走り出すはずだ。それだけの筆力がある。

登場人物たちもなかなか魅力的である。元五輪選手、炭鉱夫、貴族、踊子、故郷の仲間を救うために参加したメキシコ人、それに、時代背景が背景だけにナチスが送り出した選手団なんかもいる。元製鉄所の組合運動を率いていて、失業してしまった者。その他、各国から集った選手たち。

それぞれの目的はなんだったか。賞金。もちろんである。しかし、彼らは走り続けていくなかで、自分を駆り立てているものがなんであるかを知る。

前代未聞の大興行である。さまざまな障害に、この「大陸横断マラソンの一行」は遭遇する。選手はもちろん、興行主であるフラナガンの身にも。

五輪開催を控えていることによる、五輪委員会の思惑。それによる政治的圧力。彼らは無事にセントラルパークへたどり着けるのか?

個人と個人の戦いである、マラソン。しかし、そのなかで芽生えていく友情。

いったい何人の選手たちが完走を果たせるのだろうか?、そして優勝の栄冠を受けるのは?

ひたすら走り続ける者たちの栄光を高らかに謳い上げる!

ゴールの場面では、思わず目頭が熱くなった。

« 欲望の未来 | トップページ | トウホク食い荒らす?被災地に跋扈する不気味なアジア人 »

書籍・雑誌:☆☆」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/181624/39662152

この記事へのトラックバック一覧です: 遙かなるセントラルパーク~大陸横断ウルトラマラソン:

« 欲望の未来 | トップページ | トウホク食い荒らす?被災地に跋扈する不気味なアジア人 »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ