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2011年5月 1日 (日)

霞ヶ関 影の権力者たち

霞が関 影の権力者たち

高山 文彦:著,講談社:刊, (1996/01)

読後感:×

 【「国家の大計はわれわれが決める」省益第一を死守し、政治家をあの手この手で術中にはめ込む洗脳術。姿なき支配者、官僚の「組織の掟とマニュアル」とは。官僚支配の迫真ドキュメント。 】

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第1章 政治家を育てて“殺す”大蔵省の洗脳

第2章 人・モノ・カネ=外務省の「大国」への独走

第3章 外圧まで動員した「統廃合つぶし」の搦手

第4章 天皇家の憂鬱をさらに深めた“内と外”の力

第5章 北朝鮮が激怒した“お役所仕事”の顛末

第6章 人の痛みを通さない組織の掟とマニュアル

第7章 官僚の頂点・官房副長官の根回しと情報操作

 これは、自社さ連立政権当時の政・官の闘いの記録である。したがって情報としては古いのであるが、現在の状況と比べてみても大差はないだろうと思う。

 よく云われる事だが、この国を実質的に治めているのは「官僚」であるということを、本書を読んであらためて知った。もちろん、ここに書かれていることの全てが事実か、オレには確認しようがないのは云うまでもない。でもまぁ、実際こんなもんだろうなと思う。

 選挙という洗礼を受ける議員はいわば、倒産の憂き目に遭う儚い存在ともいえる。しかし官僚には倒産はない。仕える大臣が代わろうが、自分らの立場は安泰だ。政治家が人事に手をつけることも許さないというくらいだから、国民からすれば闇の権力である。

 一応、公平を期すために云うと、官僚には勿論強い使命感を持って公務に就いている人間は多いと思うよ。ただ、地位が上がるにつけて誘惑が多くなるわけだ。そのへんは民間にも原因はあるんじゃないかと思う。お互いの利害が一致するから、癒着ってもんがおきるわけだろう。

 で、本書は読後感が胸糞悪いのは扱っている対象が対象だけに仕方ないんだが、小説のような感覚で読めたし、政・官の対立の一面を垣間見れるということもあって、面白い読み物にはなっている。

 逆に云うと、著者はその場に居たわけでもないはずなのに、政治家や官僚たちの会話をよくここまで生々しく再現できるな、と思ってしまう。さすがに会話のやりとりには多少の創作はあるんじゃないかと思った。取材した相手だって、当時のことを完璧に再現できるわけではあるまい。自分に都合のいいように語っていないとも限らない。

 つまり、あくまでも政治劇という読物として興味深く読むことはできたってこと。加藤紘一だの河野洋平だの武村正義だのといった、オレの嫌いな議員の意外な一面を見たのもなかなか面白かった。 だからといって、別に好きにはならないんだが。

 本書を読むかぎりでは、財布の紐を握っている大蔵省(現・財務省)が一番権力があるってことかな。

 大蔵省という官庁は、たとえどんな大物政治家が乗り込んでこようとも、一丸となって省の考えを植えつけていこうとする。大蔵省のある幹部よれば、それを“ペレストロイカ”とか“洗脳”などと省内では呼んでいる。(p19,第1章 政治家を育てて“殺す”大蔵省の洗脳)

 ちなみに、日銀の総裁は大蔵省OBがなるようになってるらしい。

 それから外務省。

 国家連合の常任理事国入りを目指しているという日本だが、それを最も望んでいるのは、実は外務省かもしれない。

 元外務官僚の浅井某の発言として、外務省の思惑をこう書いている。

 「現在の安保理は、常任理事国で秘密会議もやります。現実にはそこで意思決定すれば、それを国連に押しつけることができるわけです。常任理事国にさえなっていれば、世界中に決定を押しつけられる。これは外交をやるものにとっては、たまらない魅力です。(p104,第2章 人・モノ・カネ=外務省の「大国」への独走)

 で、これに関しては政治家のほうが、憲法問題も絡めて、慎重な態度であるようだ。どうも外務省の人間は、連合国にあって肩身の狭い思いを強いられているようである。それだけに、早く常任理事国入りしてデカイ態度をとりたいのだろうな。

 

 だが、米国に追従しているだけの日本が常任理事国入りするのを望まない国が多いわけだ。米国の発言力が増すだけであると思われているのだろう。

 オレとしては、いまだに旧敵国条項(53条・107条)を持っているような糞国家連合なんぞに無駄金使うのはやめてもらいたいと思っている。常任理事国なんぞにならなくていいから、この下らん国家連合への拠出金を減らしてもらいたい。

  

 大丈夫、シナと朝鮮(めんどくせえから南北一緒くたにしてやる)という、日本の常任理事国入りを死ぬほど嫌がっている奴らが、日本がアホみたいに払っていた無駄金の穴を埋めてくれるだろうw

 

 もう一つ、本書の読みどころ。 外務省による皇室の政治利用。 雅子妃と皇太子殿下の婚約の裏側。非常に興味深い話である。

 天皇家と政治は、明確に分離されていなければならないというのだ。だが、ここにいたって、疑問視されるのは、やはり雅子妃の父、大和田恒の存在である。

 本来ならば、天皇家と縁戚関係で深くつながった時点で、日本外交の中枢をになう役職からは退くべきだったのではないか。政治経済の利害がはげしくからみあう世界から距離をおくというのが、天皇家に対する配慮というものではなかっただろうか。しかし大和田の言動からは、積極的に外交舞台の中心人物でありつづけようとしている姿ばかりがうかがわれる。(p197,第4章 天皇家の憂鬱をさらに深めた“内と外”の力)

 阪神・淡路大震災の際も、被災地を訪問したいという皇太子殿下に対して、外務省の意向を慮って予定通り中東訪問をやむなしとする雅子妃。小和田家に纏わるあの噂は本当なのかねぇ。

 まぁ、そんなこんなで大蔵省(現・財務省)や外務省という強大な権力と、政治家の攻防はなかなか見ものであった。下手なTV劇なんぞ見るより、政治の方が断然面白い。

 ガキの頃は選挙速報を見て、こんなもん何が面白いんだと思っていたけど、今となっては下らんジャリタレの出ている番組なんか見てるより、よっぽど面白いと感じるようになったわ。筋書きのないドラマってやつか。  

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