« 「くたばれ、日本」? もはや哀れみの対象に | トップページ | 外国人花嫁の死が物語る韓国の病理 »

2011年6月21日 (火)

格差社会で日本は勝つ

 格差社会で日本は勝つ 「社会主義の呪縛」を解く

 

 格差社会で日本は勝つ―「社会主義の呪縛」を解く

 鈴木 真実哉:著

 幸福の科学出版 ,2007

読後感:☆☆

 【「格差社会」は悪ではない。むしろ、今後、日本が繁栄していく
ためには「努力が報われる社会」としての格差社会を肯定すべきだ--。
「金持ち=ズル」「大企業=悪」「地価上昇=バブル」という社会主義の呪縛か
ら、日本人を解き放ち、真の経済大国へと導く注目の書。】

 

目次

第1章 格差社会は本当に悪なのか—今こそ「社会主義の呪縛」を解け!
第2章 貧困の克服は国家の役割なのか—企業家こそが世界を救う
第3章 いつまでデフレ問題で騒ぐのか—間違いだらけの経済学
第4章 経済学は本当に役に立っているのか—教科書では教えない経済史
第5章 日本は世界一の経済大国になれるのか—すべては「教育」から始まる

 幸福の科学出版からでた本というのを、買ってから気づいた。この著者がここの信者なのかは知らん。

 驚くようなことが書かれているわけではない。成功者を嫉み、たかる浅ましい根性を捨てること。云わば、社会主義の呪縛を解くこと。ここに、日本経済の復活はあるということ。  いわゆる「負け組み」と呼ばれる人たちにしてみれば、格差があるのは良いことだなんていうのはけしからん話かもしれないが、同じく「負け組み」のオレは、著者の言い分をすんなり納得できた。

 ホント云うと、読後感は3つ☆で良かったんだけど、如何せん、出版社が幸福の科学ってところに引っ掛かってしまったもんで☆2つ。

 だれが云ったか失念したが、「社会主義とは体系化された嫉妬の論理」という言葉がある。どんなに立派な理屈をこじつけたところで、この思想の根底にあるのは、「オレの持っていない物をおまえが持っているのは気にいらねえ!」ってところにある。オレはそう解釈する。

 しかしだ、世の中の発展というものは皆がギリギリの生活であったなら起りえただろうか。余裕のある人たちが生み出したものによって、結果的に皆が便利な暮らしを得ることができたのではないだろうか。

 成功者を見て、悔しいと思う気持ちはあって良い。卑しいのは、自分がそこへ行けないからといって、そこから相手を引き摺り下ろそうって発想であると思う。

 実は格差に伴う嫉妬心の解決法としては、欲を抑えて努力をし、成功者を祝福する以外にありません。みんなで嫉妬心を正当化して金持ちからたかることを制度化したのが共産国家だったわけですが、結局、全員が貧しくなっただけに終わりました。 (p89,第2章 貧困の克服は国家の役割なのか—企業家こそが世界を救う

 無理に結果平等を実現しようとすると、全員が貧しくなるだけ。だから著者は、日本に蔓延している社会主義の呪縛を解けと云っている。

 いったい社会主義の根本的な誤りとはなんだろう。この思想の“教祖”マルクスの発想にあるものは「階級社会」である。

 「階級社会」とは、例えば、資本家と労働者です。マルクスは農民や労働者は、資本家に搾取されていると考えたわけです。しかし、この「搾取」という言葉自体が実は経済学的ではないのです。 

 というのは、経済学を研究している人でもよく勘違いするのですが、資本家、労働者、地主というのは、実は「身分」ではないのです。

 「機能」なのです。(p18,第1章 格差社会は本当に悪なのか—今こそ「社会主義の呪縛」を解け!

 そして、この立場は流動性があって固定化されたものではない。地主が労働者でも有り得るし、会社員でも株主で有り得る。むしろ、凶惨国の方が身分が固定されているくらいだ。

 

 社会主義の元祖マルクスについて面白いことを云っている。

 本書では、いろいろな学者を俎上に上げているが、例えば、ケインズにしろ、バヴェルクにしろ、シュンペーターにしろ、自分自身経済的に成功を収めている。

 ならば、マルクスはどうか。

 ところが、有名な経済学者で一人そうではない人がいました。

 それがマルクスです。マルクスは貧乏で晩年も恵まれませんでした。お世辞にも成功したとは言えない人生です。

 言ってしまえば、自分を成功させた人の理論は経済を発展させましたが、自分の人生を成功させることのできなかった人の理論は世界を貧しくしたということです。

 やはり、豊かになろうと思えば、成功者の理論を学ぶべきです。マルクスは猛勉強して読書に励んだかもしれません。その努力は立派ですが、人生には敗れているわけです。しかも学説が間違っています。敗北した人の理論を学べばやっぱり敗北するという、考えてみれば当たり前のことになっただけなのです(p182,第4章 経済学は本当に役に立っているのか—教科書では教えない経済史

 “金持ちの考えた経済学は効くが、貧乏人の考えた経済学は効かない”というわけか。文証・理証より、現証といっても良い。

 

 弱者の救済といえば聞こえはいい。しかし、弱者であることが武器になるような社会にしてはならないはずである。だが、社会主義者というのは、国家がなんでも面倒をみるべきという発想を持った者が多いのではないか? しかも、どういうわけかその手の者は、根底において国家を否定している。国家を否定していながら、国家に無理難題を要求する。最早、国家を疲弊させて国家の崩壊を促そうとしているのではないかと思えるほどである。

 

 限られた資源を使って最大の成果を出すという視点がないのです。福祉国家とか社会主義国家の特徴は、財源の問題を無視しているところです。資源が無限にあるという前提で初めて成り立つ議論なのです。(p82,第2章 貧困の克服は国家の役割なのか—企業家こそが世界を救う)

 

 国家はドラえもんじゃないってこと。

 そして、発想の転換というか気づいていなかったこと。 デフレについて。

 考えてみればデフレが起きるのは当たり前のことです。東西のヨーロッパが一つになったということは、どういうことでしょうか。東ヨーロッパの賃金は西ヨーロッパよりはるかに安いのです。 つまり、今までドイツやフランス、イギリスでつくっていたものを、ポーランドやハンガリーに工場を移すだけでかなり安くできるようになります。さらにそこに中国が入ってきます。中国では東欧以上に安くできます。

すると東欧や中国でもつくれる品物を日本やドイツ、アメリカでつくっても、価格競争で敗れ去ることになります。実際、日本のタオル産業などは低価格の中国産に押されて大打撃を受けています。

 これはベルリンの壁崩壊で起きた津波という自然の流れであって、津波に文句を言っても仕方がないところがあります。津波が来たら高台に逃げるしかありません。

 高台とは技術で言えば高い技術のことです。低い技術しか持っていないと津波に呑み込まれてしまいます。

 従って津波がやってくるのであれば「高い技術を身につけておきなさい」ということになります。現にデフレという津波が押し寄せても、高い技術を持ち、高品質の製品をつくっているところは全然やられていません。

 中国がいくら安い繊維製品をつくってもルイ・ヴィトンやシャネルやエルメスはやられたりしていません。高台にあるからです。

海抜ゼロメートルにあるような、どこの国でもできるようなものしかつくれないと津波に呑み込まれてしまいます。ということは国内にアルプスやヒマラヤみたいな高い山脈を抱えている国ほど生き残れるということになります。高い山とは他の国では真似のできないような質の高い技術を持っているということです。そして日本はまさに高い山脈を抱えている国なのです。(p106~107,第3章 いつまでデフレ問題で騒ぐのか—間違いだらけの経済学

 

 これは日下公人の著書にもあった指摘である。日本のような技術の高い国は、量の経済から質の経済へ移るべきということ。ブランド力の強化ということか。

 あと、円高で日本の輸出産業が悲鳴を上げているというのもよく聞く話で、たしかにそのとおりのところもあるかもしれない。しかし、次のような指摘もある。

 現在、日本の輸出品の八割ほどは生産財や資本財なのです。消費財はほとんど輸出していないのです。自動車などはすべての輸出品の中で言えばほんの一部です。トヨタやホンダなどは世界中に輸出しているイメージがあるかもしれませんが、海外で売っているのは海外で生産しています。言うほど円高や円安の影響を受けていないのです。「自動車産業が円高でやられたら日本は危ない」というニュースはほとんどフィクションの世界、昔話の世界です。 では輸出の中心となっている生産財や資本財とは何でしょうか。何か製品を生産するために必要なものです。工作機械とか金型とか部品とかのことです。(p108,第3章 いつまでデフレ問題で騒ぐのか—間違いだらけの経済学

 ひとつひとつツッコミ入れるほど経済通でないため、この手の経済本を読んだときの評価の基準は、日本経済に悲観的か楽観的かという点で、読後感の快・不快を決めるしかない。

 ならば本書は快である。日本はまだまだ捨てたもんではないと思えた。

 にも係わらず、もやもやしたものが残るのはやはり、幸福の科学からでている本ってところにある。こういうことを書く人が、ここの信者なんだろうか? 

 だとしたら、いったい何がよくてやってるんだろうか?

« 「くたばれ、日本」? もはや哀れみの対象に | トップページ | 外国人花嫁の死が物語る韓国の病理 »

書籍・雑誌:☆☆」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/181624/40478088

この記事へのトラックバック一覧です: 格差社会で日本は勝つ:

« 「くたばれ、日本」? もはや哀れみの対象に | トップページ | 外国人花嫁の死が物語る韓国の病理 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ