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2011年6月30日 (木)

オウムからの帰還

オウムからの帰還 オウムからの帰還

著者:高橋 英利
販売元:草思社,1996
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読後感:△

 【1995年4月23日。オウム疑惑が怒濤のように渦巻くさなか、実名と素顔をさらしてテレビに生出演した元出家信者がいた。高橋英利。教団科学技術省に所属していた青年である。幸いにして教団の暗黒部には関わっていなかったが、彼は危険をかえりみず、勇気をもって自分の知るかぎりのことを率直に語り、教団に対する疑念のすべてをぶつけた。その番組終了間際、彼の上司であった村井秀夫の刺殺事件が起こったのである…。その彼による本書は、類例をみない凶悪犯罪を生み出したオウム真理教の実態を、内部にいた者の視点から浮き彫りにした鮮烈な手記である。出家に至るまでの自らの精神的苦悩を赤裸々に語り、サティアン内部で実際に目撃し体験したことを、できうるかぎり冷静かつ客観的な筆致で再現する。これはオウム真理教の真の姿を伝える証言であるとともに、一人の青年の心の内面の記録でもある。】

 あの事件当時、自分はまだ高校生だったな。真理党とかいって選挙にしゃしゃり出てきたり、いったい何をしたいんだこいつらって、オレも友達なんかも笑って見てたわな。

 その連中が、‘95年1月17日の阪神淡路大震災の衝撃もまだ覚めやらぬ3月20日、あの事件をやらかしてしまったのであった。

 大丈夫なのかお前たちってマジで思った。麻原が大丈夫でないのは、あの汚いツラを見てれば分かる。しかし、あれについて行ってた弟子たちには結構な高学歴の人らが居たので、なんでこんな汚い奴についてくのよ?って理解できないものがあった。

 本書の著者もその例に漏れない人といっていいのではないかと思う。

 高橋氏の学歴は、信州大学理学部地質学科および大学院で測地天文学を専攻とある。オウムとの出会いは、大学祭で説法しに来ていた麻原を見たときだという。

 いったい何が良くてあの宗団に入ってしまうのか。何に惹きつけられるのか。普通の感覚から云ったら、第一印象でダメだと思うんだが。

 

 ちょうどそのころ、著者は人生に悩んでいたという。しかも、グルジェフやクリシュナムルティの思想に触れていたこともあって、オウムの思想を聞いても違和感はなかったのだそうである。

 それでもやはり、坂本弁護士事件の報道などもあって、著者はなかなか入信には踏ん切りがつかなかった。その揺れる著者の心を捉えたのは、麻原ではなく弟子の井上嘉浩、ホーリーネームはアーナンダだそうである。この井上嘉浩には、本当に圧倒されるほどの宗教的なものを感じたようである。

 

 自分としては、本書に読みどころは、教団に入るまでの件であった。教団に入ってからの修行云々は痛々しいやらアホらしいやらで、うんざりしてきた。宗教という一言で括りたくはないんだけども、やっぱり宗教ってのは諸刃の剣とでもいうのかなぁ。

 宗教をやるならやったで結構、ただし絡み酒のような悪酔いはやめてくれってことか。どうせ酔うなら、気持ちよく酔ってみせろってことかな。

 ちょっと興味深い話が一つ。

 麻原は弟子たちに占星術の研究をさせていた。どうやら予言を行なう為に占星術を使いこなせないかと企んだらしいのである。この著者も、その部門に係わっていたという。大学で地質学を研究していたことから、「地震占星術」なるもののsoftware開発を任された。

 ‘95年の出来事を、麻原は当時やってた教団のラジオ番組で予言したかったのだ。1月8日の放送で「神戸のあたりに危ない地点がある」とやった。 それがうまい具合に、本当に「神戸のあたり」で震災が起きてしまった。‘94年の11月18日の月食図をもとに計算したら兵庫県の“このあたり”とでたんだとか。

 どういう原理なのかよく分からない。 それにしても、つくづく才能の無駄遣いだな~と思う。

 

 それともう一つ。著者の子供の頃の不思議な体験の話が冒頭に書かれているのだが、これ、「伊集院光の深夜の馬鹿力」のあるコーナーで読まれた、リスナーの子供時代の体験にちょっと似てる恐さがあった。

 それはもしかしたら、“集合団地”という場所で幼少期を過した人なら、共通してもっている体験なのかもしれない。

 見渡すかぎり同じ建物。壁に書かれた番号で、辛うじて自分の住む棟であることを見分ける。

 こういう団地に住んでいた子には、きっと自分の家がどこか分からなくなってしまい、同じ番号の棟で、同じ階で、同じ部屋番号ってことだけを頼りに、祈るような気持ちで玄関の扉を開ける。そんな不安な体験をもっているのではないだろうか。

 この高橋氏も、そんな体験をもった人である。

 

  

 

 

  

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