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2012年6月

2012年6月18日 (月)

日本人はなぜ多重人格なのか

51m0dr2kggl 日本人はなぜ多重人格なのか

中山 治:著

洋泉社 ,1999

読後感:☆

 【あいまいで変わり身が早い、左右に激しくぶれ、外圧には弱い、そのくせ反発する。
心理的矛盾・葛藤に直面するや自分に関係ないものとしてぼかし、なかったことにしてしまう―外から見たら多重人格民族にしか見えない日本人は、このままでは破滅する。】

 第1章 ドーパミン気質とセロトニン気質から日本人の国民性を探る

 第2章 「見ざる・聞かざる・言わざる」の社会心理はどこから生じたのか

 第3章 日本人はいつから多重人格を発症したのか

 第4章 日本人はなぜ言葉に酔いやすいのか

 第5章 あいまいな日本の私たち

 第6章 官僚に見るエゴ共同体の病理

 第7章 日本の文化と教育はなぜ荒廃したのか

 第8章 日本人は自己変革できるのか

  読んでいて自分にも当てはまってることが多かったな。云うことや行動に一貫性がないという自覚はあるつもりだが、この本を読んで、それが非常に恥ずべきことであり、世界の常識からすると、人として欠陥のあることなのだということは分かった。

 まえがきから。

 幕末には列強に呑み込まれる恐怖が日本中を襲い、それが当時の日本人のトラウマとなった。これが「好奇心に満ちあふれた若く凛々しい武士の人格」を生む契機となったことは否めない。

 大正の終わりから昭和の初めには、ロシア革命(これによりロシアはわが国に対して軍事的脅威のみならず、天皇制を打倒しようする精神的脅威となった)、関東大震災とそれに続く昭和の大恐慌という強いストレスがわが国を襲い、多くの日本人の心にトラウマを残した。これが「血に酔ったバサラの人格」への転換の契機となった。

 そしてその「血に酔ったバサラの人格」はさんざん暴発した後、原爆の被爆と太平洋戦争の大敗北という強いストレスによって崩壊したのである。むろん、これもまた日本人のすべてに強いトラウマとなって残っている。そしてその後に、「卑屈な商人の人格」が出現して今日に至っている。だが、これもそのまま続くとは思えない。今日の日本社会の現状を見るとき、次に来るのは「人格崩壊」である。人格の大分裂である。(pp2~3,まえがき)

 著者曰く、「アメリカ人が心理的矛盾や葛藤をしっかり見つめて対立させる傾向が強いのに対し、日本人は心理的矛盾・葛藤をぼかそうとする傾向が強い」(p45,第2章 「見ざる・聞かざる・言わざる」の社会心理はどこから生じたのか)と指摘するが、その傾向は徳川幕府の時代に徹底化されたと論じる。徳川の時代に、「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿の社会心理が植え付けられたとする。この三猿という欺瞞の社会心理は、封建体制や独裁体制の社会に見られる傾向であり、「西欧近代の社会の仕組みと徳川鎖国時代の封建的社会心理とが融合してしまったところに日本のユニークさがある」(p45,同)と云う。

 この辺と、狩猟民気質(ドーパミン気質)/農耕民気質(セロトニン気質)という紋切り型のもっていきかたには新味がなく、並みの日本人論に終わってしまった感はある。徳川幕藩体制が三猿という欺瞞の社会心理を植えつけたというが、封建体制の社会は西欧も経験しているはずだ。そこの違いは何から生じるのか?徳川体制を受け入れたこと自体に、日本人の中にもとからあった気質を見ないわけにはいかないと思うのだ。狩猟民と農耕民という視点も、まるで西欧は農業と無縁であったかのような論で信憑性が薄い。

 やはり、信仰を持つことに対する態度の差ってのはどうも有ると思う。

 第8章 日本人は自己変革できるのかより。

 いかなる社会文化もその秩序を生む自明の約束事からなっており、その約束事は入れ替えが可能であることに気がつけば、日本人が過去にこだわってきた「外国崇拝(拝外)」か「国粋主義(排外)」かという対立は、本質的には幻想であることがわかるであろう。(p216) とし、“一神教”か“多神教”かという公理の選択が重要であると云う。そして、明治の御一新はこれに失敗したわけだ。天皇という多神教の象徴的存在に、一神教の神の公理を代入しようという荒技をやらかして、「日本人はついに誇大妄想を発症した」(p217)のだと分析する。その著者の解決策というのが、

 アメリカ人のような自我を持つ一部の日本人のほかは、やはり多神教の公理を選択して、そのなかのもっとも強力な神の賜物としてグローバル・スタンダードを位置づけると共に、何とかこの鬼神と棲み分けることを画策するのが多くの日本人にとってもっとも現実的な選択であろう。

 むろん、棲み分けるためには、グローバル・スタンダード(唯一神の賜物)と日本的特殊性(八百万の神々の賜物)との矛盾を解離してあいまい化するという伝統的な手法は通用しない。それではこの鬼神の怒りを買うだけであるから、矛盾をしっかり見つめてその整合性を探るという緊張感のなかで、何とかご一緒させていただくほかはない。まさにこの点で、過去に仏教や儒教を次々と習合させて来た日本的いい加減さとは、ここできっぱりと訣別しなければならない(pp217~218) というものである。これまた中途半端な感が否めないが、日本人のなんでも相対化してしまう態度(良い悪いを抜きにしても)を見てると、こうならざるを得ない気はしてくる。

 で、TPPに加盟することが日本人の気質を変えさせる引き金になるのじゃないか?、ってのがオレの見立てではある。

 二十一世紀は情報資本主義社会である。にもかかわらず、日本は徳川鎖国体制を引きずった官僚資本主義を維持しようとしている。これが日本の衰退の原因である。だが、村落共同体を解体したからといって、おいそれと個人主義が生まれるわけではない。濃密な集団主義はたしかに解体されるだろうが、「みんな一緒の横並び」というエートスはしぶとく生き残り、その向かう先はすでに述べたように浮遊主義であって、個人主義ではない。

 というのは、個人主義はもともと神は唯一というキリスト教から生まれた生き方であって、唯一絶対の神に対する畏怖と尊敬をその基盤とし、そこから生まれた自己の良心を行動の立脚点として、自律と自己責任の原則に貫かれたエートスだからである。(p219)

 グローバル・スタンダードと云っても、それを主導するのは英語国民である。彼らの行動規範にあるのは耶蘇教の公理であって、これが世界を席巻している。当然のこと、日本も世界の一員として生きる限りはこれと無関係ではいられない。これに対して「三猿」は通用しないのだ。もし、これを善しとしないならば、それに替わる経済の在り方や価値観を示せなければならない。外圧に対する反応しか示さない、自ら世界の進むべき方向性を打ち出してはこない日本に世界の船頭役は務まらない。

 一神教は救われる者と救われないものを厳しく選別する。この公理を持つ人々との対決、交流は、在外邦人くらいでなければ経験したことのないものだろう。これが恐らくはTPPに加盟することで、日本国内に住む日本人にも、一神教的厳格さと嫌でも対峙せざるをえない状況になると思われる。

 著者は多神教的公理では無理だと考えているはずで、一神教的公理のもとで生きることを選択しない限り、日本人の「人格の統一」は有り得ないと本統は云いたいのではないか。 多神教がトラウマ(心的外傷)を抱えると多重人格を発症する(p222,第8章 日本人は自己変革できるのか)と云っているのであるから。

 私の考えを要約すれば、その解消の仕方は二つに大別できる。それは能動的解消と受動的解消である。能動的解消には三つあり、一つは矛盾を見つめて観念を変えるか、逆に現実や行動を変えようとするやり方である。二つ目は矛盾を徹底した合理化、正当化の理屈によって埋めてしまおうとするやり方である。三つ目は何らかの意図に基づいて、矛盾を承知で自覚的に言っていることとやっていることを使い分けるやり方である(ダブル・スタンダードやリップ・サービスなど)。

 これに対して受動的解消は、矛盾を解離して(見ざる、聞かざる、言わざるで矛盾を「わが心の内なる村八分」にするわけである)あいまい化することによって半ば無自覚に使い分けるやり方である(建前と本音)。矛盾のあいまい化には呪術や暗示も好んで使われる。そして、比較相対的に見ると、欧米人は歴史のなかで能動的解消を選択し、日本人は受動的解消を選択してきた(pp239~240,あとがき)

 一神教でも耶蘇教とイスラムとで、それが土台にある社会に発展の差が出たのは何故かといった視点もないため、こじつけと取れる面もあるが、日本人の人格の崩壊を憂える、叫びにも似たものは感じた。

 

2012年6月16日 (土)

人を壊す社会~【あるつぶやき】

 

 信仰の歓喜がなくなってしまった宗教組織も、日本社会の単なる縮図と化しつつあるように見える。

2012年6月 7日 (木)

自殺する国 【あるつぶやき】

マイナリ受刑者の再審決定 東京高裁

ついにきたか。 渡邊泰子の無念が晴らされることを願う。 なんで急にオレのブログに東電OL関連でアクセスしてくる人が増えたのかと思ったら、これだったんだな。 ところで、自民党から東電OLの記事にアクセスあったけど、何か関係でもあんのか?

2012年6月 5日 (火)

予兆か? 【あるつぶやき】

2012年6月 1日 (金)

オレもナマポがイイおwww

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