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2013年3月

2013年3月26日 (火)

ミステリアスなカクテル

4396613709ミステリアスなカクテル―美酒とミステリーの微妙な関係

馬場 啓一:著 扶桑社,2001

読後感:☆

 【チャンドラーが、ハメットが、ライアルが、こよなく愛したカクテルがある。名作ミステリーを彩るカクテル全40種類登場】

 まだ見ぬ数多のcocktail薀蓄を、舌なめずりしつつ読むのも結構辛い。が、文で酔わせるのはさすがcocktail愛好家にして日本シガー愛好家協会会長である。

 mysteryも当然のことながら読み込んでいるわけで、それらの小説で、どういう効果をcocktailがだしているか等、読みたい、飲みたい欲が湧いてくる本になっている。

 勿論、各種cocktailの作り方もしっかりでている。写真は当然。本当なら、馴染みのBar、そしてbartender(バーテンといってはならない。それは本書を読めばわかるのだw)を持ちたいわけだが、そこまでの漢ぶりでもない。こうなったら自分でつくるために、一式揃えたろかという気分になってきた。

 その時は、ここで紹介されているmystery片手に、ちょっとした贅沢な気分を味わってみたいものである。ところで何故、mysteryにはcocktailなのか。 Chandlerの影響がこの分野では強すぎるのか。

 登場人物の個性を、嗜好するcocktailによって描くとか、そういうのが西洋の作家は上手いようです。あちらには大人の文化ってものが確立されているんでしょう。この本は、そのへんも意識した、つまり作法を説く書にもなっている。

2013年3月21日 (木)

失われたミカドの秘文

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失われたミカドの秘紋-エルサレムからヤマトへ-「漢字」がすべてを語りだす! 

加治 将一:著,祥伝社  (2010

読後感:☆

 【日本に渡来した神々の驚愕のルーツが、ここに浮上する!なぜ「船」は七でも九でもなく「八」の「口」なのか?なぜ「禁」は「林」に「示」なのか? ユダヤ教、聖書、孔子、始皇帝、秦氏、そして……神秘の力が古代史を一気に貫通した。】

 発想は面白いとは思うが、強引なこじつけが多いな。途中、案の定というべきか、日猶同祖論が出てきたことに苦笑。日本語とヘブライ語の共通点の多さを指摘する人は他にもいたが、この辺かな、この小説のネタ元は。

 この著者、歴史の専門家から無視されていることを気にしているようだが、相手にして欲しいならそれらしい体裁で本書いたほうがいいんじゃないか。

 Dan Brown意識してんだろうと思うけど、巧くいってるとは云い難いな。中学で歴史教えているとかいう設定の女性、いつも必要な時に現れてくれるけど、現実に有り得なくないか。教師ってそんな暇じゃないだろ。

 Chinaに耶蘇教が流行していたとか、その影響が漢字にも現れているとかいうのはまぁ、そうかもしれんねと思わせるものはあったかな。でも強引だな、大体は。

2013年3月16日 (土)

死都ゴモラ

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死都ゴモラ-世界の裏側を支配する暗黒帝国

 

ロベルト・サヴィアーノ:著  大久保昭男:訳 

 

河出書房新社,2008   読後感:▲

 【旧約聖書に記された悪徳の町「ソドムとゴモラ」が、イタリアを本拠として現代世界を喰い荒らし始めている。かつてのマフィアをはるかに超えた権力と経済力を持ち、利潤追求を至上とする凶悪な巨大犯罪企業組織「カモーラ」。中国などアジアを含む全世界の広大な裏経済を巧妙に操り、無数の犠牲者を葬りつつ莫大な不正利権を手中に収めている―知られざる衝撃的な闇の現実。イタリアに輝かしい新星作家が登場―壮大で強靱なノンフィクション・コラージュ小説、鮮烈な捜査小説!2006年度ヴィアレッジョ=レパチ賞受賞。同年度ジャンカルロ・シアーニ賞受賞。】

 文体が合わなかった。なんというか、詩人っぽい文体で変に饒舌な感じ。疲れて読みきれませんでした。代りに映画で見てみっかと思い、観たものの、ほとんど寝てた。

 もう、佐藤優推薦の文字に騙されない。

 要するに、地下経済マジぱねえことになってんぞ、と。前からじゃねえかよmafiaItaly.

戦勝国イギリスへ日本の言い分

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戦勝国イギリスへ日本の言い分

マークス 寿子:著, 草思社 (1996

読後感:✖✖

 【昨年(’95年)の春から、英国のメディアは戦勝50周年記念を前にして、日本叩きに燃え上がった。1995年8月、安易な「謝罪」が招いた日本たたきに対し日英の和解を求めひとり反論を試みる。著者は英国の高級紙「インディペンデント」の求めに応じ反論した。日本では報道されなかった日英間の危機の報告。】  しかしまぁ、あれですな、向こうの人間ってのは自分のやられたことは絶対に忘れませんな。著者のこの反論が向こうさんにどう、受け止められたのか知りたいところだな。

 95年ったら、阪神淡路大震災が起き、さらに地下鉄でオウムがやらかした年だよな。日本のMediaは日本で報道すべきネタの多い年だったからか、海外でこんな日本叩きが起きてたなんて取り上げなかったんだな。

 オレ常々思うんすけど、在外邦人の方たちって神経症にならんのですかね。事あるごとに差別されるでしょ日本人は。まして戦勝国の方に行っちゃうとね。

 この人もさすがにうんざりしたようで。

 多分、てかまったく通じないでしょう、日本人的感覚って。自国の軍人に食わせるだけの食料にも事欠き、前線への補給もままならない状態でどうやって捕虜を“手厚く持てなせる”んだ?、と。ましてや自決上等?の日本人と違ってあちらさんは勝ち目ないと見るや、白旗バンバン挙げて投降してくるわけでしょ。

 でも通じないんだろうな。なら降伏しろって話だろ。そんな状態で、いつまでも勝ち目ない戦いダラダラ続けて無駄に被害を拡大しやがって、と。

 日本人の死生観と欧米人の死生観の違い。これがあの戦争の被害を絶望的なまでに拡大させた遠因でなかったか。

 自殺を罪と考え、理性的行動を尊重キリスト教文化のもとに育った人間にとって、助かる生命を自ら破壊するのはファナティズム(狂信)であり、狂信は最も忌み嫌われるものであった。狂信者を理性で判断することはできない。日本人を西欧人の基準で考えることはできないというのは、必ずしも人種差別ということではなく、戦争を通じて多くの西欧人がもった認識であった。西欧人が日本人を「野蛮」(savage)と言う時の意味は、キリスト教に馴化されていないという意味である。(p120,第八章 原爆投下と戦争犯罪)

 「戦争と人間の風土」っていう本だったと思ったが、日本人と西欧人の戦争観の違いの根本に死生観の違いがあると云っていた。西欧人は戦をスポーツ感覚としてやってるように見える。捕虜になることは恥でもなんでもないんで、むしろ生きてこの場をしのいで、後の戦に備えるのだという感覚。西欧人と対等に渡り合っていくのは、屹度シナ人の方がうまいだろうな。

2013年3月15日 (金)

横田めぐみさんと金正恩

横田めぐみさんと金正恩  飯山 一郎:著 三五館, (2012

51nwjdedk4l__sl500_aa300_読後感:▲

 【マスメディアでは絶対伝えられない衝撃的事実と立証!彼は誰の子か?
隣国への「不幸願望症」の人に贈る、北朝鮮の虚実!思わず唸る、あまりにスリリングな国際インテリジェンス。】

第1部 ビビンバ!北朝鮮!(横田めぐみさんの影を追う;在朝日本人と移住イスラエル人;金正恩の超小型水爆とは?)
第2部 金王朝の“深い深い謎”(金正恩と胡錦涛のキズナ;金正恩はプロだった!;人民大会堂の夕食会;金正恩、出生の不思議;謎とき「金正恩の見事な敬礼」;めぐみさんの子供たち)

 横田夫妻はこれ読んだのかね。それと、TVもまったくこれについては相手にしてないようで。完全にキワモノって扱いですな。まぁ、この著者の経歴なんかからも、胡散臭さプンプンだしな。

 なんでも、乳酸菌、発酵菌の大量培養法なるものを発明?確立? これも聞いたことなかったね。どれほどすごい技術なのかしらんけど、中韓はこれを求めてきてるらしいよ。

 でもさ、細菌によって「放射能浄化」とか云っちゃってるんだよね、この方。大丈夫なのか?

 そんなわけで、真剣に受け止めるのが無理な内容。ブログを書籍化したらしく、平気で語尾に草生やしてるしな。ブログでなら気にならんけどさ、書籍でこの文体はどうよ?昭和21年生まれだそうだけど、この著者。敢えておちゃらけてるのかね。

 中身はまぁ、おもしろかったけど。自分が思ってもみなかった視点で物事を見せてくれるなら、大概のものはおもしろく読めるからね。ただ、それを読み終わったあとに何か残るかって云うと、この本に関しては無かった。確かに、横田めぐみさんの写真と金正恩を並べて見比べたら、似てるようにも見えるけどさ。

  wikiを見ると、横田めぐみさんは“横田めぐみは北朝鮮で金賢姫の同僚工作員金淑姫に日本語の指導を行っていたとされる[22]。また、金正恩が早くに亡くなったため、彼を育て上げたのは横田めぐみとの説がある[23]。” と書かれている。

 この問題が解決していない以上、諸説でるだろうな。地村夫妻にしろ、蓮池さんや曽我さんにしろ、帰国した拉致被害者の方たちが全てを語っていないように思えるし。

 そう、この飯村氏に云わせれば、北朝鮮での生活は、拉致“被害者”にとっては優雅で何不自由ないものだったそうな。むしろ日本政府が、彼らを日本に“拉致”したようなもんだ、と。これ読んだのかな、“拉致被害者”の方は。

 真相は闇の中だが、北朝鮮が崩壊しない理由は北朝鮮の体制を支えている勢力があるからと云う人もいる。確かに、人民の大多数を飢餓状態においているような体制が、これ程耐久力があるのも、この体制を支援している力が働いているからとしか考えられない面はあるな。で、この手の陰謀論になると必ず出てくるんだな「ユダヤ資本」ってのがw

 北朝鮮は地下資源の宝庫なのだそうで、英国とユダヤ資本が全力で支援してるんだとか。

 面白いのは、北朝鮮は満州国であり大日本帝国そのものであるっていう視点だ。

 

超陰謀

超陰謀 フリ-メ-ソン・ナチス・CIAの頭脳破壊

ジョナサン バンキン:著  小紫 ますみ:訳

徳間書店 (1995

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 【正統派ジャーナリストが決死の取材でつかんだ「超悪」の動かざる証拠。マインド・コントロール、麻薬、エイズ、情報操作、UFO、マフィア・コネクション、JFK暗殺、政治裏工作…フリーメーソン・イルミナティ・ナチスからCIA・外交関係評議会・日米欧三極委員会までの驚くべき相関と謀略の手口・からくりが、遂に暴かれる。】

 読後感:▲

 

 Netに溢れかえってる情報と同じっすね。ってか、この著者自身も存外、Netから拾ってきたネタも散りばめてんじゃね?、って感じ。 斜め読みんなんすけどね。じっくり読む本じゃないでしょ。

 まぁ、本当の暇つぶし本です。情報量は確かに多いけど、ネタの出所が?なもんで。この本で得た知識をまともに他人の前で披露すると、“ヤレヤレ”って呆れられること請け合い。

 読みどころとしては、第二部の陰謀論に憑かれた人たちを取材した部分だね。第一部は、こういう陰謀論があるよっていう紹介ですね。有名どころばっかりなんで、新鮮味はなかったね。

 

 こういう人たちって、自分が無視されてることも権力者の陰謀って受け止め方なんだな。ちょっと宗教家に似てんな。自分たちが誹謗されるのは正しいからって解釈。

 

 そもそもこの著者、正統派journalistって紹介されても知らねえし。Pulitzer Prizeでも取ったとかいう人なら兎も角ねぇ。否、こういう発想こそが洗脳されてるって云われますかな。

 なんて云いますかねぇ、ちょっと奥菜秀次の本を読んでみて、オレ、陰謀論との向き合い方変わったな。

 答え出したい欲求があるんでしょうね、人間には。世の中がうまくいかない理由とか、自分の人生がうまくいかない理由とか考えたときに、裏で糸引いてるやつがいるんじゃね?、って思うわけね。こういうのって科学がなかった太古の人たちが、原因を神の存在に見たようなものなんじゃないかと。まぁ、陰謀論者の場合は悪魔の存在を見てるわけかな。

 畢竟、著者も云ってるように特定の存在が世界を牛耳ってるって発想には無理があると思う。この本でもいろんな連中が出るしね。その全てが足並み揃えてひとつの目的に動き続けるとは思えないわけで。所詮、人の集まりには権力闘争を免れ得ないだろ。縄張り争い、派閥争い。分け前をめぐる攻防とか起きるでしょ。

 現実は不確定要素が多いってことしか云えないね。この手の本読んでも、じゃ、どうする?、ってなるとお手上げだもんな。出来ることないでしょ実際。文明自体が現実に対する陰謀って云われてもなぁ。なら、文明捨てて原始時代の生活に戻れるかって話でね、無理だわオレには。

2013年3月 9日 (土)

ザ・ビッグイヤー

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ザ・ビッグイヤー 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲

オブマシック マーク:著  朝倉 和子:訳(2004,アスペクト)

 【「ザ・ビッグイヤー」。それは、1年間に北米大陸で見つけた鳥の種類の多さを自己申告制で競う、アメリカ探鳥協会主催の記録会の名称である。仕事も家庭も棒にふり、1000万円以上注ぎ込み、40万キロ以上も飛び回って1年間も「鳥探し」をする競技者・バーダーたちの駆け引き、軋轢、結託、嫉妬―。男のロマン、バカバカしさ、業の深さを爽やかに描いた傑作ノンフィクション。】

 1)三人の挑戦者 2)人はなぜ鳥を探すのか 3)探鳥ブーム 4)戦略 5)外洋の女帝 6)つむじ風コミト 7)エルニーニョのいたずら 8)トラフズク 9)ハチドリの死闘 10)ドライ・トルトゥーガ群島 11)嵐の揺りかご 12)父親銀行 13)迷い 14)スグロエンビタイランチョウ 15)追いつき、追い越せ 16)ケープ・ハテラスの決闘 17)いつも二人で 18)強敵 19)名誉のために 20)最後の日

  この本はおもしろかったなぁ。こんな馬鹿を真剣にやる人間がいるってことがAmericaの凄さではあるな。

  Birdwatching は鳥の命を奪わない狩りなんだというわけだね。いや、この世界、一度始めちゃうと人間の収集欲が刺激されて、抜け出られらくなりそうだよ。オレには鳥を追いかける趣味はないけど、この人たちが「駆り立てられているもの」ってのは、分かりますな。

 博打にハマっちゃうのとはちょっと違いますかね。でも、半端ないだけのカネかけて東西南北、米国中を鳥を追って飛び回ってるんだから馬鹿でも凄いよ。こういうのを愛すべき馬鹿って云うんだろうね。

 まぁ、知らん鳥の名前がバンバン出てきて、それがどれくらい貴重な鳥なのかとか全然分からんのですがね。 しかし気象予報ならぬ、北米希少種注意報(笑)なるものをつくりだした探鳥家がいてですねw 会費を払えば希少種が現れるや、ただちに情報を得られるんですとw

 いいわぁ、好きですなぁ、こういう傍から見りゃどうでもいいことに夢中になれるのって。

 どうやらこれ、映画化もされたようですね。いつかDVD借りて観てみるかなと思う。屹度、原作本の面白さには敵わないでしょうが。

 それはそうと、こういう「ネタ」 こそ「水曜どうでしょう」でやってくれないかなと思うけど。

 

2013年3月 7日 (木)

愛国対論

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小林 よしのり 渡部 昇一【著】
PHP研究所(2002/06/05 出版)

【9・11テロが日本人に突きつけたもの、日米関係のあり方、日本の国益、靖国参拝問題、歴史教科書論争…。】

第1章 日本の「正義」はどこにある?
第2章 “同盟関係”とは何か
第3章 愛国心について
第4章 宗教と国家
第5章 国益論争
第6章 歴史を歪めようとする人びと

 9.11は島原の乱、現在はAmerica幕府の時代という、独特の渡部節。この人は親米保守だ。精神論でなく、 生存の為にはアメちゃんに従うしかねえべよ、という分かりやすさ。国家にはやりたくない戦争でもやらにゃならんことがあるよ、だから同盟国ならiraq戦争みたいなことが起きた日にゃ、もたついてないで協力せいと。

 対して小林は反米保守だ。というより、反「親米」保守というべきか。同盟国だからって精神まで従属すんなよと。小林よしのりにさして興味はないんだが、それでも拾える言葉は拾っとこ。

 

 アイデンティティーやナショナリズムを捨てて、何々人ではなく単なる「ヒト科」になれば、アメリカに収斂されていくことに違和感もないだろうし、簡単なことでしょう。しかし、わしはそれが嫌だ(pp122~123,第三章 愛国心について)

 

 まぁ、池田名誉会長のSGI提言にもあった抽象化の罠ってのは、平和主義者の口からでてくる世界市民だの地球市民だの云う言葉に感じるんだよねオレは。何々人などというものに実態は無いって云ったって、それじゃその何々人とか何教とか、何主義とか、そういう個別の条件を剥ぎ取っていったあとに残る“人間”なるものにオレがなにを感じるかと云うと、まさに小林の云うところの「ヒト科」、つまり腹減ったら食う、眠くなったら寝る、そんな只の生物としての「ヒト」しか想像つかないんだけどね。

 そういう単なる生物としての「ヒト」を基礎にして、「世界」とか「平和」とか語れるもんなのか? これが疑問。

 平和主義者ってのも「主義者」なわけだ。じゃ、対極にいる別の「主義者」と、その互いの違いを超えて生物としての「ヒト」として語れるのかと。

 難しいと思います。「人間」という原点を確認し合うだけで争いがなくなるようには、「人間」はできていないだろう。何らかの共通の利害で結び合わせることでしかね。

 

 もう一つ「国際化」という抽象的な言葉について。

 渡部昇一が小林よしのりの言葉を受けて、 戦後ずっと喧伝されてきた「国際化」というのは、他者に依存して生存をはかろうとする自己を偽ろうとする、欺瞞的態度を納得させるための方便の言葉だったと言える。(p123,同)と述べるが、それは分かるんだけど、とすると、先に挙げた同盟国としての態度ってのも、America依存を続けるための方便にはならないか?、って疑問も起きる。

 これに関して、渡部は9.11後の日本の置かれた立場を、大阪城の戦いで徳川につかねばならなかった豊臣恩顧の諸大名に例えて云う。

 私は今回のテロ事件が、かりに覇権国としてのアメリカ、その強大さからくる傲岸不遜さに反発を覚えるイスラム原理主義者との対立から生じたものだとしても、そしてその背景に複雑な宗教的、歴史的な軋轢があるとしても、日本が議会制民主主義と資本主義を採用し、自由な言論と自由な経済活動によって繁栄を求める道を選ぶかぎりは、第一にそれを破壊するテロリズムと戦うという姿勢を示さねばならないと思っています。そのための具体策として、同盟国に対する支援は不可欠でした。(p11,第一章 日本の「正義」はどこにある?) と。どうだろうね、これ。

 日本と同じ旧枢軸国のDeutschlandなんかはどうだったのか。

 なんかこう、敗戦国として、永遠に敗戦国としての反省を強いられている国として、逆にもっとしたたかに振舞う道はないのかと思うんだけど。例えば、日本があんた方と同じように軍隊を持って、海外に出兵させられる普通の国になってもええの?、とかさ。その昔、あんた方に倣ってあんた方と同じように振舞った結果袋叩きにあったんで、もう普通の国になるのに懲りてるんすけど、とか?w

 いっそ開き直って日本をこんな国にしたのはお前らニダ!、作戦で、やっかいな問題は他国任せにしちまうってのは無理かw 軽蔑され続けるのに耐えられるのなら、恐らくは金輪際、血を流すことのない「平和国家」にはなれるんじゃないの。

 本に戻ると、後半では小林個人の問題、つまり、「あたらしい歴史教科書をつくる会」に係わる問題に入るね。谷沢永一との確執なんぞあったそうだがオレはその件に興味なし。

 歴史認識について云うと、保守とはいえ小林と渡部では細部に関しては意見の食い違いはあるようで、例えば、同盟国に対する支援はクイックアクションでと云い、第一次世界大戦で英国から欧州戦線に日本の陸軍の支援を要請されたのに、日本は断った、それが旧国際連盟での日本の発言力も低下させたと。だから日本が提案した人種平等規約も通らなかったと。これが渡部の歴史観。

 小林はそうは思わないわけだ。いや、日本がどう出ようと歴史は変わってないよと。Americaは是が非でも日英同盟を廃棄させようと画策してんだと。Chinaと夜露死苦やりてえんだこっちはよ、と。 だから日英同盟邪魔。猿をどかせよ、と。これが小林の歴史観だな。

 第五章の国益論争が面白いね。オレは満洲とは日本にとってなんだったのかに興味が湧いてきているのだけど、この満洲権益をめぐる日米の攻防についても、この両者は意見が割れるんだな。南満洲鉄道の権益に関してEdward Henry Harrimanの提案を仮契約まで行きながら、小村寿太郎が蹴った。「これが決定的にまずかった」(p163)と。

 当時の日本の国力を考えれば、まだしも「共同経営」という譲歩をしてきたアメリカと取引することは国益にかなったのです。それを日本が平気で断ったというので、アメリカは怒ったわけです。ここで有色人種としての道義を貫き通したとして、玉砕の自己満足だけで終わってはならないのです。有色人種として最後に勝つためには、奥歯をかみしめつつ、狡智にふるまわなければならないときがあります。(pp169~170)

 

 しかし、これでも小林は納得いってない。Americaが先住民を追いやったやり方、Hawaiiを併合したやり方など見ても、Americaは大陸からいずれ日本を追い出したろうと。

 歴史にたらればを云ってもどうにもならんが、同じような情況に於いてどう斬り抜けるかを想定するうえでは、この時期の日本の置かれた情況と日本の行動をもっと知っておくべきだなと思った。日米は真珠湾攻撃の前から戦争に至る状態にあったんだという視点で歴史を見るなら、現在の日本の情況を見る目も変わってくるか。

 オレとしては渡部昇一の云うように、今はAmerica幕府時代だなという認識だな。だが、いつまでも米国の覇権が続きはしないだろう。驕れる者は久しからずですな。Chinaは人口面から云っても戦略的な思考から云っても、もっと強大になっていくだろうし。こうなりゃ日本としてはどう動くかだな。EUともAmericaとも等距離を取って、巧く立ち回ってる感のあるUKが参考になるかどうか。

 

 

 

 

 

 

 

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